新生戯曲展 くりかえし
作品紹介
カメラ1台、編集なし、ノーカット、無言劇となります。
新生戯曲展 くりかえし
出演:鈴木瑠璃夏
作・演出:宇里香菜
私の事 忘れて
きっと数年経てば記憶も期限付きの情報の様に消えて逝く
向こう側が見えていたら緊張しなくて済むのに
誰も傷つけない真実なんて無い
どちらから見た正義なの
昨日も今日も明日も意味不明な言葉が氾濫して手を突っ込んだら
全身時限爆弾だらけにされて
それでも無理矢理生かされて
掌にひとつぽつんと置かれた優しい薬なんて
飲み込んだら楽になれるなんて幻想だって分かっているのに
ひと思いに握り潰してしまえばいいのに
笑って別れを求め過ぎた結果
いつの間にか無駄になった思考
溜め込んだ憎悪を軽々持ち上げて思いっきり突き落される
哀しいなんて思うのは自由
だから
私の事 忘れて
きっと希望も絶望も同じ線上に並んで仲良く後ろ向いて
ここから一歩進めば一緒どこからどこまでも一緒
向こう側が待っているって思ったら
正義を振り翳して飛び込む
散り散りに弾け飛んだ光も声も音も想いも夢も
鈍く仄暗い轍が生温い泥で埋まって逝く
ずっと前に見た幼い夢の続きのよう
忘れないで